男はつらいよ 望郷篇

久しぶりに「男はつらいよ」を見ました。寅さん自体はちょっとヒマ潰しに見る事はあったけど、それも95年の最終作前後からは見ていないので、本当に久しぶりの「男はつらいよ」でした。
 このシリーズは、最初の9作と、浅丘ルリ子出演の4本。あとは、好みの問題で、ボクは伊藤欄の「かもめ歌」(これは、奮闘篇のパターンですが……)、太地喜和子の「夕焼け小焼け」あたりが良いと思います。70年代、まだあちこちに安い映画館があった頃は、「寅さん大会」があって、よく見に行きました。最初はボクも無邪気に笑って見ていたのですが、ある時期から、全然笑えない映画になってしまいました。よく考えてみると、ふられる映画を3本も続けて見るなんて、これはちょっとキツイ。
 かなりの年月を経て、「男はつらいよ」が面白く見られるようになったのは、後期の後藤久美子のレギュラー出演が始まった頃で、案外、寅さんの印象はこのあたりの作品のイメージがボクのなかでは強く残っていました。
 今回、久しぶりに見ると「望郷篇」は、かなりシンプルで、どちらかというと手堅い作品でした。それと、渥美清が若いという事もあるのだろうけど、この時のキャラクターはちょっと恐い感じでした。「男はつらいよ」のダークな部分、ベーシックな意味でのテキヤ気質というのがちゃんと描かれている作品で、後年の寅さんのイメージからは程遠いイメージのように思います。案外、ヤクザ映画に通じるイメージも見え隠れしているようで、そういう意味では、久しぶりに見て、とても面白かったと思います。
 「男はつらいよ」は第3作、第4作と山田監督以外の監督が撮っていて、それは、明るく、楽しく、本当にプログラムピクチャー的な喜劇作品だったのですが、山田監督復活で原点に戻ったのかも知れません。映画版としては案外、「望郷篇」が実質的な「男はつらいよ」の第1作目という感じがします。笑えない「寅さん映画」。多分そこから「男はつらいよ」の喜劇映画としての悪戦苦闘がはじまったのだと思います(必ず笑いを入れなければいけないという制約は、数年に1本作られる、「寅さん映画」以外の山田監督作品と比較すると、案外明確かも……)。
*「望郷篇」で、笑いを一人で支えていたのは森川信。久々に見たけれど、一つ一つの演技が飛び抜けていました。
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